ENVIRON
トピックス|2026.09.20 公開

全成分表示の読み方 ― 並び順のルールと、エンビロン製品でビタミンAが何番目に書かれているか

「上のほうにある成分ほどたくさん入っている」という読み方は、リストの途中から成立しなくなります。厚生労働省の通知が定める表示ルールを確認したうえで、エンビロンの単品スキンケア48製品の全成分表示を集計し、ビタミンA(整肌成分)が実際に何番目に書かれているかを並べました。

化粧品を買う前に裏面の成分表示を確認する、という人が増えています。それ自体はいいことなのですが、同時に「上のほうに書かれている成分が主役」「後ろのほうに並んでいるのはおまけ」という読み方も一緒に広まりました。

結論から言うと、この読み方はリストの途中から成立しなくなります。書き手が手を抜いているからではなく、表示のルールがそう決まっているからです。

この記事では、まず全成分表示が何のルールで書かれているのかを公的な資料で確認し、そのうえで、エンビロンの単品スキンケア48製品の全成分表示を実際に集計して、ビタミンA*が何番目に書かれているのかを並べます(*整肌成分)。

※ 本記事中の記号 * は、公式表記にならい成分の位置づけ(整肌成分など)を示すものです。

全成分表示は、何のルールで書かれているか

化粧品の容器に成分がすべて書かれているのは、医薬品医療機器等法(薬機法)第61条第4号で「成分の名称」の記載が義務づけられているためです。東京都健康安全研究センターの解説では、この第4号について「原則、配合されている成分すべて」と整理されています。

そして、その具体的な書き方を定めているのが、平成13年3月6日付の医薬審発第163号・医薬監麻発第220号(厚生労働省医薬局審査管理課長、同監視指導・麻薬対策課長通知)「化粧品の全成分表示の表示方法等について」です。通知が示している書き方は、次の6点です。

  1. 成分の名称は邦文名で記載し、日本化粧品工業連合会作成の「化粧品の成分表示名称リスト」等を利用すること
  2. 成分名の記載順序は、製品における分量の多い順に記載する。ただし、1%以下の成分及び着色剤については互いに順不同に記載して差し支えない
  3. 配合されている成分に付随する成分(不純物を含む)で、製品中にはその効果が発揮されるより少ない量しか含まれないもの(いわゆるキャリーオーバー成分)については、表示の必要はない
  4. 混合原料(いわゆるプレミックス)については、混合されている成分毎に記載すること
  5. 抽出物は、抽出された物質と抽出溶媒又は希釈溶媒を分けて記載すること(最終製品に溶媒等が残存しない場合を除く)
  6. 香料を着香剤として使用する場合の成分名は、「香料」と記載して差し支えないこと

1点目は、ブランドが違っても同じ成分なら同じ名前で書かれる、という意味です。表示名称は日本化粧品工業会(旧・日本化粧品工業連合会)が作成する「化粧品の成分表示名称リスト」に基づいて付けられており、各社が自由に命名しているわけではありません。手持ちの化粧品と見比べるときに役に立つのは、この点です。

「多い順」は、1%以下でいったん止まる

読み方の前提が崩れるのは2点目です。分量の多い順に書くのが原則ですが、1%以下の成分は互いに順不同でよいことになっています。

ここで効いてくるのが、どこから1%以下なのかは表示に書かれていないという点です。区切り線も記号もありません。つまり、成分表示を見ても、「順番に意味がある範囲」と「順不同でよい範囲」の境目は読み取れません。

その結果、こういうことが起こります。

  • リストの後半にある成分同士は、並び順が前後しても表示としては問題がない
  • だから「20番目だから15番目より少ない」とは言えない
  • 逆に、上位に来ている成分は分量が多いとは言えるが、それは水や基剤が上位に来やすいということでもある

実際、今回集計したエンビロンの48製品のうち、44製品が「水」から始まっています。上位を占めているのは製品の土台を作る成分で、そこから「何を狙った製品か」を読み取るのは難しい、というのが実態です。

エンビロン48製品で、ビタミンAは何番目に書かれているか

では、ブランドが前面に出している成分は、表示上どこに並ぶのでしょうか。エンビロン公式は「さまざまな種類・形態があるビタミンAの中でも、浸透性(角質層まで)・安定性が高いパルミチン酸レチノールをはじめ、さまざまな形のビタミンAを配合しています」と説明しています(ビタミンAは整肌成分)。いわば看板の成分です。

当サイトが保有している公式製品データのうち、セット品とツール類を除いた単品スキンケア48製品の全成分表示を数えたところ、次のようになりました(成分数は9〜49、中央値26)。

  • ビタミンA系の成分名(レチノール、パルミチン酸レチノール、プロピオン酸レチノール、酢酸レチノール)が載っているのは16製品・のべ25か所
  • そのうち23か所がリストの後半(前から数えて50%より後ろ)にある
  • 位置の中央値は、リスト全体の78%あたり

個別に見ると、こうなります。

製品 成分名 位置
モイスチャーACEオイル 酢酸レチノール 9成分中 7番目
モイスチャージェル 2 パルミチン酸レチノール 25成分中 10番目
モイスチャークリーム 4 パルミチン酸レチノール 38成分中 22番目
C-クエンスセラム 1 プロピオン酸レチノール 40成分中 34番目
C-クエンス アイジェル パルミチン酸レチノール 36成分中 36番目

3つの形が併記されているA-ブーストセラムでは、28成分のうちレチノールが19番目、パルミチン酸レチノールが22番目、プロピオン酸レチノールが27番目に書かれています。

C-クエンス アイジェルでは、公式がキー成分として挙げているパルミチン酸レチノールが、全成分表示のいちばん最後に書かれています。ここだけを見て「ほとんど入っていない」と判断するのは、表示ルールを踏まえると無理があります。

対照的なのが、同じエンビロンで多くの製品に使われているビタミンC系のテトラヘキシルデカン酸アスコルビルです。この成分は21製品に載っていますが、位置は**C-クエンスセラム 4 プラスでは40成分中3番目**、ボディプロファイルクリームでは39成分中38番目と、製品によってまったく違います。

同じ成分でも位置が大きく変わる。これは、表示の位置が「分量」を反映しうる指標であって、「その製品で何が主役か」を表す指標ではないことの分かりやすい例です。

「段階が上がると順位も上がる」は読み取れるか

ここまで読むと、「では同じシリーズの中で比べればいいのでは」と考えたくなります。エンビロンにはビタミンA*の濃度を段階的に上げていくステップアップシステムがあるので(*整肌成分)、段階が上がるほど表示順も前に出るはずだ、という読み方です。

実際に並べてみると、こうなります。

モイスチャークリーム パルミチン酸レチノールの位置
1 37成分中 31番目
2 38成分中 25番目
3 38成分中 24番目
4 38成分中 22番目
C-クエンスセラム プロピオン酸レチノールの位置
1 40成分中 34番目
2 40成分中 31番目
3 41成分中 33番目
4 プラス 40成分中 34番目

モイスチャークリームだけを見れば、段階が上がるほど前に出ているように見えます。ところがC-クエンスセラムでは、2でいったん前に出たあと、3・4プラスで戻ります。同じブランドの、同じ「段階がある」シリーズで、挙動が一致しません。

そもそも1%以下は順不同でよいというルールがある以上、この並びから配合量の差を読み取ることはできません。加えて、製品ごとに配合されている成分の顔ぶれ自体が違うので、「何番目か」を横に並べて比べること自体に無理があります。

エンビロン公式も、各製品のビタミンA*濃度を数値では公表していません(*整肌成分)。公式が示しているのは「スキンコンディションに合わせて段階的に高めていく」という設計の説明までで、だからこそステップアップはカウンセリングとセットの仕組みとして案内されています。同じ論点は「レチノール」と「エンビロンのビタミンA」は何が違うのかでも扱っています。

それでも成分表示が役に立つ場面

「読んでも分からない」で終わる話ではありません。順位から強さを推し量るという使い方が成立しないだけで、別の使い方は十分に成立します。

  • 重ね使いの確認——他ブランドのアイテムにビタミンA系の成分名が入っていないかを見ておくと、意図せず重ねてしまう事態を避けられます(手持ちの他ブランド化粧品と併用できますか?)
  • 過去に合わなかった成分の確認——避けたい成分名がはっきりしている場合、表示名称は各社共通なので照合できます
  • 何が入っているかの事実確認——エンビロンの各製品ページにも「全成分」の欄があります。気になる製品の表示は購入前に確認できます

逆に、書かれていない=入っていない、ではない点も押さえておくと誤読を防げます。前述の3点目にあるキャリーオーバー成分は表示の必要がなく、6点目の通り着香剤は個々の成分名ではなく「香料」とまとめて書けます(エンビロンの場合、48製品中「香料」の記載があるのは2製品です)。

気になる場合は、成分名ではなく肌の状態で相談する

成分表示から読み取れるのは「何が入っているか」までで、「自分の肌にどう働くか」は別の話です。特にビタミンA*配合製品では、肌がビタミンAに慣れる過程で、一時的に赤み・乾燥・皮むけなどが生じる場合があること(いわゆるA反応)が知られています(*整肌成分)。症状が強い場合や長く続く場合は使用を中止し、購入したサロンまたは皮膚科医に相談してください。

成分表示を調べたうえで不安が残ったときは、その不安の中身をそのままサロンに伝えるのがいちばん近道です。「後ろのほうに書いてあるのが気になる」「他ブランドのこれと重ねていいか分からない」といった具体的な形で聞けば、表示のどこを見ればいいかも含めて答えてもらえます(ビタミンA化粧品は肌に負担がかかりませんか?)。


本記事の表示ルールに関する記載は、医薬品医療機器等法第61条、平成13年3月6日付医薬審発第163号・医薬監麻発第220号「化粧品の全成分表示の表示方法等について」、および日本化粧品工業会・東京都健康安全研究センターの公開資料(2026年9月時点)に基づいています。エンビロン製品に関する記載は、株式会社プロティア・ジャパン(エンビロン日本正規総代理店)が公開している製品データおよび公式サイトの説明に基づき、当サイトが保有する全成分表示データを集計したものです。集計対象は公式データ由来の製品のうち、セット品・ツール類および同一製品の重複登録を除いた48製品です。効能に関する表現は公式表記の転記であり、当サイトによる書き換えはしていません。当サイトは非公式のポータルです。

文・監修: environ.salon 運営事務局

RELATED QUESTIONS

RELATED PRODUCTS