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トピックス|2026.08.28 公開

「レチノール」と「エンビロンのビタミンA」は何が違うのか

レチノールが話題になるほど、「エンビロンもレチノール化粧品でしょ?」「いや、エンビロンはレチノールじゃないから穏やかなはず」という正反対の受け取られ方が同時に広がっています。どちらも正確ではありません。公式の成分表記をもとに、レチノールとエンビロンのビタミンAの関係を整理します。

SNSや美容メディアで「レチノール」という言葉を見ない日はない、という状況が続いています。同時に「レチノールは刺激が強いらしい」「皮むけするらしい」という不安もセットで広まりました。

その流れの中で、エンビロンについて正反対の2つの受け取られ方が同時に存在しています。ひとつは「エンビロンもレチノールの化粧品でしょう?」。もうひとつは「エンビロンはレチノールではないから穏やかなはず」。

結論から言うと、このどちらも正確ではありません。エンビロン公式は「さまざまな種類・形態があるビタミンAの中でも(中略)さまざまな形のビタミンAを配合しています」と説明しており、実際に、製品ごとに書かれているビタミンAの成分名は異なります。この記事では、公式の成分表記をもとにその関係を整理します。

※ 本記事中の記号 * は、公式表記にならい成分の位置づけ(整肌成分・保湿成分など)を示すものです。

「レチノール」は、ビタミンAという大きなグループの中のひとつの名前

まず言葉の関係から整理します。「ビタミンA」は、化粧品成分としてはレチノイドと総称される一群を指す言葉で、特定のひとつの物質名ではありません。「ビタミン」がビタミンA・C・Eなどをまとめた呼び名であるのと同じ入れ子の関係です。

日本の化粧品の全成分表示に登場するビタミンA系の成分名には、たとえば次のようなものがあります。

  • レチノール
  • パルミチン酸レチノール(英語表記では retinyl palmitate)
  • プロピオン酸レチノール(retinyl propionate)
  • 酢酸レチノール(retinyl acetate)

後ろの3つは、レチノールに酸が結びついたエステル構造を持つもので、まとめて**レチニルエステル(エステル型)**と呼ばれます。エンビロン公式がC-クエンスセラムの説明で「ビタミンA*(レチノール誘導体)」と表記しているのは、この形のことです(*整肌成分)。

ここで押さえておきたいのは、「ビタミンA配合」という表示だけでは、どの形が入っているのかは分からないという点です。パッケージや広告で「ビタミンA」とだけ書かれていても、成分表示を見ると別の名前が並んでいる、ということは普通に起こります。

エンビロンの製品には、どの形のビタミンAが書かれているか

エンビロン公式は、ビタミンAへのこだわりについて「さまざまな種類・形態があるビタミンAの中でも、浸透性(角質層まで)・安定性が高いパルミチン酸レチノールをはじめ、さまざまな形のビタミンAを配合しています」と説明しています。

この「さまざまな形」は抽象的な言い方ではなく、製品ごとの公式キー成分表記を並べると具体的に見えてきます。

製品 公式キー成分表記のビタミンA*(*整肌成分)
モイスチャージェル 1・2 パルミチン酸レチノール
モイスチャークリーム 1 パルミチン酸レチノール
モイスチャークリーム 2〜4 パルミチン酸レチノール・プロピオン酸レチノール
C-クエンスセラム 1・2 プロピオン酸レチノール
C-クエンスセラム 3・4プラス プロピオン酸レチノール、パルミチン酸レチノール
A-ブーストセラム トリ-レチノイドコンプレックス(レチノール、パルミチン酸レチノール、プロピオン酸レチノール)
モイスチャーオイルカプセル レチノール

モイスチャークリームのキー成分表記に「パルミチン酸レチノール(モイスチャークリーム1〜4)・プロピオン酸レチノール(モイスチャークリーム2〜4)」と書き分けられているように、同じシリーズの中でも段階によって記載が変わります。C-クエンスセラムでも、パルミチン酸レチノールの記載に「※C-クエンスセラム3、4プラス」という限定が付いています。

ただし、ここは誤読しやすいところなので補足します。公式が説明しているステップアップシステムの定義は、あくまで「肌の状態に合わせてビタミンA*(パルミチン酸レチノールなど)の濃度を段階的に高めていく」仕組みです(*整肌成分)。段階の違いは濃度の話であって、「成分の種類が増えるからステップが上」という説明が公式にされているわけではありません。表から読み取れるのは「製品によって配合されている形が違う」という事実までです。

ここから正せる、2つの誤解

この表を踏まえると、冒頭の2つの受け取られ方がどちらもずれていることが分かります。

「エンビロン=レチノールの化粧品」ではない。 日常的に使う基本ステップの製品——モイスチャージェル、モイスチャークリーム、C-クエンスセラム——の公式キー成分表記に並んでいるのは、パルミチン酸レチノールとプロピオン酸レチノールです。「レチノール配合の化粧品」と同じものとして横並びに語ることはできません。

「エンビロンはレチノールを使っていない」も正確ではない。 A-ブーストセラムの公式説明では、キー成分の「トリ-レチノイドコンプレックス」の内訳としてレチノールが明記されています。モイスチャーオイルカプセルも「ビタミンA(レチノール)*」と記載されています(*整肌成分)。使っていないのではなく、製品の位置づけによって使い分けられているというのが実際のところです。

なお、A-ブーストセラムは公式に「モイスチャークリーム3(またはC-クエンスセラム3)に慣れてから、ゆっくりと毎日のお手入れに組み入れる」製品として案内されているもので、最初に選ぶ製品としては想定されていません。

成分名からは「濃度」も「効き目の強さ」も読み取れない

ここが実務上いちばん大事な点かもしれません。「レチノールは強い」「エステル型は穏やか」という一般論はよく見かけますが、その一般論を、目の前の特定の製品にそのまま当てはめることはできません。理由は2つあります。

ひとつは、成分表示のルールです。化粧品の全成分表示は配合量の多い順に記載することになっていますが、1%以下の成分は順不同で記載してよいことになっています。ビタミンA類は通常この範囲に入るため、成分表示の並び順から配合量を推し量ることはできません

もうひとつは、濃度が公開情報ではないことです。エンビロンの各製品のビタミンA濃度は数値として公表されておらず、公式が示しているのは「段階がある」「低いものから始める」という設計の説明までです。だからこそ公式は、モイスチャージェルやモイスチャークリームの製品特長に「初めてご使用になる方は、ビタミンA濃度が低いものから始めることをおすすめします」と書き、ステップアップをカウンセリングとセットの仕組みとして案内しています。

成分名は「何が入っているか」を知る手がかりにはなりますが、「自分の肌にどう働くか」を判断する材料にはなりません。同じことは、成分名の一致だけで製品を比較しようとするときにも起こります(「ペプチド」再注目のいま、C-クエンスに入っているペプチドをどう捉えるかでも同じ論点を扱っています)。

医薬品のレチノイドとは、そもそも別のカテゴリ

もうひとつ混同されやすいのが、皮膚科で処方されるトレチノインやアダパレンなどのレチノイドです。これらは医薬品であり、化粧品として設計されているエンビロンのビタミンA製品とは位置づけが異なります(ビタミンA化粧品は肌に負担がかかりませんか?)。

処方薬を使用中の方が自己判断で併用することは避けてください。併用の可否は処方した医師に確認する必要があります(皮膚科で処方されたレチノイドと併用できますか?)。

気になる場合は、成分名ではなく肌の状態で相談する

ビタミンA*配合製品では、肌がビタミンAに慣れる過程で、一時的に赤み・乾燥・皮むけなどが生じる場合があること(いわゆるA反応)が知られています(*整肌成分)。症状が強い場合や長く続く場合は使用を中止し、購入したサロンまたは皮膚科医に相談してください。

そのうえで、実際に選ぶ場面では次の点を押さえておくと迷いにくくなります。

成分名を調べること自体はよいことですが、そこから先の「自分の肌にどれが合うか」は、実際に肌を見てもらわないと決められない部分です。取扱サロンのカウンセリングで、今の肌の状態と使っているものを伝えたうえで相談してください。


本記事のエンビロン製品に関する記載は、株式会社プロティア・ジャパン(エンビロン日本正規総代理店)が公開している製品データおよび公式サイトの説明(2026年8月時点で取得)の製品説明・キー成分・全成分表示に基づいています。効能に関する表現は公式表記の転記であり、当サイトによる書き換えはしていません。成分の分類・呼称に関する記載は、日本の化粧品の全成分表示における表示名称に基づく一般的な整理です。当サイトは非公式のポータルです。

文・監修: environ.salon 運営事務局

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